客間に設えられた祭壇の前に横たわる孝成の遺体は綺麗だった。綺麗に清められて、すっぽりと棺に納められている。
手を伸ばした先の孝成の土気色の肌と俺自身の肌の色の違いに驚いた。それさえなければ、眠っているだけだと言われたら俺は納得しただろう。けれど、その土気色が、そこにはもはや生命が存在しないのだと言う。疑うことを許さない、厳然たる事実を突きつける。
そして、これは孝成じゃないと疑わせる。
実感がなかった。
ここで突きつけられている事実は、ただ目の前に横たわる身体が心停止して「死」と呼ばれる状態であること、その身体が孝成のものであること、ゆえに孝成は死んだのだと言えるということ、それだけだ。その状況がそう名づけられることになっていると知っているがゆえに「孝成が死んだ」と知っているだけで、俺はここで起きていることを何も理解できていないに違いなかった。でなければ、「孝成が死んだ」という事実に対してこんなにも無感動でいられる訳がない。
食い入るように孝成を見つめ、そして何も自分の中で起こらないことに絶望して、俺はようやく周囲に目を向けることができた。
とりあえず「2話」と銘打っておく。
書き溜めたらちゃんと書き直す前提の駄文です。きちんと書けてからまとめて公開すりゃいいじゃん、と思うけど、やっぱり人の目に触れる場所で文章を書きたいんだと思います。そういう欲求がなかったら、Webで創作なんてしないよね。
タイトルつけました。「リコリス」。由来はありますが、書き終えてからの話にしたいと思います。